2011年夏、クラウドサービス大手のセールスフォース・ドットコムは、米経済誌フォーブスにおいて、アップルやグーグルといった競合を押さえ「世界で最も革新的な企業」に選ばれた。00年に日本法人を立ち上げてから、日本市場に驚くほどのスピードで食い込んできた同社は、震災後、日本のIT企業への投資を拡大。来日したマーク・ベニオフ会長兼CEOに日本市場の魅力についてインタビューした。
マーク・ベニオフ●セールスフォース・ドットコム会長兼CEO。1964年、米国カリフォルニア州生まれ。79年、15歳でエンターテインメントソフトウエア会社を設立。86年南カリフォルニア大学卒。オラクル、アップルコンピューターなどを経て、99年、セールスフォース・ドットコムを設立。2000年4月、同社の日本法人を設立した。
――革新的な企業として、異なるものをつなぎ、爆発的なイノベーションを起こすために、経営者として普段から意識していることはありますか。

昨日、京都に行き、歴史あるお寺や庭園を散策しました。本当に素晴らしかった。こういった経験は、イノベーションを起こすためのアイデアを得るために非常に重要なプロセスなのです。「革新」は、日々の仕事の中からでなく、休暇を取ってリラックスしているときに生まれるのだと思っています。

かつてオラクルに在籍していたとき、ソフトウエアを導入する際に高額なハードウエアの購入や複雑な設定を迫られる顧客企業の不満を耳にしていました。そんな中、休暇中のハワイの海で泳いでいたときに、アマゾンのウェブサイトとオラクルのサイトを同時に思い浮かべていたところ、機能をネットワークにのせ、必要な期間に必要な容量のサービスをネット上で提供する「クラウド型サービス」のアイデアがひらめいたのです。これが今の業態につながっています。

仕事を成し遂げるうえで、「自分をリフレッシュさせる」ことを疎かにしてはいけません。そのためにも休暇は積極的に取るべきです。