手持ち資金と期間で方法も激変する

たとえば、いま40歳で手持ち資金が5000万円あり、20年後に1億円を達成したいという希望であれば、税引き前4.5%の運用を毎年続ければよい。これなら、運用の仕方次第で叶う可能性も十分にあるだろう。

しかし、今回は「そんなに持っていないよ」という方が1億円を貯める方法を探るのが趣旨なので、大胆な話になることをご了承いただきたい。

さて、当たり前の話で恐縮だが、最初の方法は「収入を増やして、支出を減らす」というもの。とはいえ、現実にはなかなか難しいのも確かである。

大卒男子の生涯賃金は約3億円だそうだが、このうち2割程度は税金や社会保険料で取られるため、残りの2億4000万円が手取り。この4割強を貯めなければ1億円は達成できない計算となる。生涯賃金が4億円の人でも、手取り(3億円強)の3分の1を貯めないと達成は不可能だ。さすがにこれは厳しいだろう。

一方、同じく大卒女子の生涯賃金は約2億5000万円とのことなので、夫婦ともにずっと共働きで、2人の生涯賃金の合計が6億円(4億6000万円の手取り)とすれば、このうちの2割強を貯めれば目標は達成できることになる。生涯賃金も徐々に低下している現在、夫婦のダブルインカムなどで収入を増やすことが、1億円達成の最短コースとなるわけだ。

でも、それは無理だという場合、次に考えられるのが「親のスネかじり」。

たとえば、8000万円のマイホームを取得して、8割の6400万円の住宅ローンを借りる場合、金利3%、30年返済だと、返済総額は9700万円を超える。頭金や、固定資産税などのコストも含めると、1億円もの資金が住宅のために消えていくわけだ。しかし、親がそれなりの住宅を保有し、同居できるなら、この支出は不要となる。住居費の負担さえなければ、1億円を貯めるのは決して不可能ではないかもしれない。