三浦 展●カルチャースタディーズ研究所主宰、消費社会研究家、マーケティング・アナリスト。一橋大学卒。パルコ、三菱総合研究所を経て現職。『下流社会』『シンプル族の反乱』など著書多数。

不安感が募ったとき、人間はどんな行動を取るのか。ルディー和子氏は、仲間と行動する傾向が強まると言う。

「類人猿の時代から人間は自由を欲してはいますが、不安があるときには仲間と一緒にいたい。高度経済成長時代には、そんなに仲間をつくらなくても家族単位で団結できましたが、いまは一人暮らしの人が多い。Twitterやソーシャルネットワークサービスで仲間をつくるのは、ネットを通してつくりやすくなったこともありますが、やはり不安感の表れでしょう」

映画「ルーキーズ」が2009年興行収入85億円を挙げ、年間を通してナンバーワンのヒット作となったのも、ともに喜び、ともに笑いたいという帰属意識の高まりとルディー氏は分析する。

消費社会研究家でマーケティング・アナリストの三浦展氏も、帰属できる確かなものを求める志向が高まっていると見る。

「つながりなんてなくてもいいと言えたのは、会社組織が強固な時代だったから。いまはもう、そういう盤石なものが望めない。会社、家族、地域社会など、これまでいらないと思っていたつながりを求め出しています」