アラフォー世代以上の転職はキャリアアップのためよりも、買収による人員削減など、会社の状況変化によって転職を余儀なくされたケースが多い。年収も下がるケースがほとんどで、前職より下がらなければ成功の部類といえるだろう。

現在は年収800万円を確保するのが本当に難しい時代。英語が堪能な外資系企業の人材が、他の外資に横滑りするような場合は40代でも1000万円以上の年収を維持できるケースがそれなりにある。しかし普通の日本企業がこの世代の人材を採用するには誰かが辞めてポジションが空いていることが前提となるが、その動き自体が減っている。例えば、40代半ばの大手企業の人事部長(年収約1000万円)が合併による人員整理で現在求職中だが、年収600万円程度まで下げてもポジション自体がない。

高給で採用されてもすぐリストラという例もある。例えば、2年ほど前、海外のMBAホルダーなどを含め、人材によっては2000万円超の高給で大量採用していた外資系の大手販促会社が、現在、社員の8割をリストラしている。基本的に40過ぎたらできるだけ転職よりいまの会社へしがみついたほうがよい。次が決まっていないのに辞めるなどもってのほかである。

むろん比較的うまくいったケースもある。例えば、ある企業でアジア地域の責任者を務め、業績給も含め年収1300万円を得ていた40代後半の人材。帰国の打診を受けたが、本人はまだアジアで仕事をしたいと考えていた。理由は仕事面に加え、現地の税制面の有利さや物価の安さにあった。要するに給料据え置きのまま日本に戻ってくると、収入が目減りし生活水準も下がってしまう。彼は結局、他の中堅企業に転職し、これまでの経験を活かしアジア進出の立ち上げ責任者に就任して、そのまま現地で働き続けることになった。年収はやや下がったものの、各種手当や海外責任者として交際費枠を与えられ、何より「アジアで仕事を続けたい」という希望がかなえられたのだから成功例と言える。アジア諸国で実際に複数回の事業立ち上げを経験した彼は、「ぜひ欲しい人材」だったのだ。