「われわれ大手には追い風になっています。お客さんも潰れそうな会社からは買いたくないですからね」

大手マンション・デベロッパーの営業マンが打ち明ける。アーバンコーポレイション、ゼファー、ダイナシティ、ダイア建設、モリモトなどなど……。ここ2年ほどで新興の中堅デベロッパーがドミノ倒しのようにばたばたと倒産した。買い手はみな、同じことを心配する。

「次は、どこが潰れるのか」

需要がなくなったわけではない。むしろ価格が下がったために、いまが買い時と考えている人は多いだろう。そのため、財閥系など信用度の高い上位数社に人気が集中しているのである。

むろん財閥系以外の会社がすべて倒産するわけではない。潰れそうな会社を見分けるにはどうしたらいいか。そもそも、販売業者が倒産したからといって、買い手にはどのような不利益が及ぶのか。

また、姉歯事件以降、マンションの躯体そのものについても、耐震強度が不足しているのではないかという根本的な不安が持たれるようになっている。専門家が不正を行っていたら、それを見抜く手立てはあるのだろうか。

そして販売の現場で、営業マンの甘言に惑わされずに、価値ある物件を買うにはどこに気をつけたらいいのか――。

それぞれの分野の専門家に話を聞いて回った。危ない会社、危ない物件をつかまされないために、これだけは気をつけてもらいたい。

(次回へ続く)

※すべて雑誌掲載当時

(宇佐見利明=撮影)