新駅で価値上昇が見込める場所は

不動産価格に大きな影響を与えるのは、

(1)生活利便性
(2)交通利便性
(3)居住快適性
(4)付加価値
(5)資産性
(6)収益性

東京カンテイ市場調査部上席主任研究員 中山登志朗●1963年、神奈川県生まれ。出版社勤務を経て、98年東京カンテイ入社。市況レポート「Kantei eye」の編集長を務める。

だが、そのうちの9割を占めるのが(1)と(2)、つまり立地である。さらに生活の利便性は交通の利便性に左右されることを考えると、新線、新駅には立地を劇的に変えるという意味がある。その結果、不動産の価値が上がると思うのは当然だが、実際には、すべての新線、新駅で価値が上昇するわけではない。

例えば、南北線、埼玉高速鉄道は相互乗り入れをしており、開通は半年違うだけでほぼ同時期。しかし、南北線の白金高輪、白金台の不動産価格は開業前後で比べると明らかにアップしたが、埼玉高速鉄道鳩ヶ谷では開業後に下落。交通利便性がよくなっただけでは価値が上昇しないことがわかる。

では、新線、新駅に加え、どのような条件が付加されれば価値は上昇するのか。

過去の例からわかるのは、

(1)徒歩20分がいきなり駅前になるなど、交通の利便性が飛躍的に向上した場合

東武東上線ふじみ野が好例で、駅前に広い平らな土地があったことから一気にマンション開発が進み、地域の新しいブランドエリアに成長した。

(2)ブランド性が顕在化した場合

白金高輪、白金台のように、もともとブランド力のある住宅地が交通利便性向上で注目される例で、主に都心部で生じる。

(3)居住ニーズが顕在化した場合

一般に知られていなかった、古い街が新線、新駅で注目を浴びる。新江古田、勝どきがこのパターン。

(4)新線、新駅と開発が一体化して行われた場合

妙典、越谷レイクタウンなど。

いずれにも共通するのは、新線、新駅が地元の人以外を呼び込むきっかけになるか否かということ。地元の人が便利になってよかったというだけでは価値アップにはつながらないのだ。