欧州危機は「第二のリーマンショック」になるか

12月初め、東京より一足先に紅葉の終わったアメリカの首都ワシントンに赴いた。折しも、アメリカン航空がチャプター11(アメリカ連邦破産法第11章)を申請して、破産申請した翌日にアメリカン航空に乗り合わせたこともあってか、あるいは偶然か、成田空港からシカゴ・オヘア空港経由のワシントン・ロナルド・レーガン空港までの飛行機の中は空席が目立っていた。破産申請とは無縁のように何事もなく到着したロナルド・レーガン空港では、クリスマスのイルミネーションとともに初冬の寒さが出迎えてくれた。

アメリカでは、国債残高の上限の期限を迎え、財政再建を議論するスーパー・コミッティにおいて民主党と共和党が物別れとなったままである。アメリカの財政再建の行方は世界的なソブリン危機のリスクに深く関わる。そのヒアリングのためにワシントンを訪れた。先の9月に、アメリカ行政管理予算局は、2011年2月の推計を修正し、財政赤字の今後の計画を大きく改善させる数字を公表した(表1)。11年に対GDP比で8.8%(11年2月の時点では10.9%)、12年に6.1%(11年2月の時点では7.0%)、13年に3.9%(11年2月の時点では4.6%)、14年に2.7%(11年2月の時点では3.6%)と財政赤字が縮小することになる。

しかし、アメリカの財政再建の行方について、皆が口を揃えて話すことは、大統領選挙が終わるまではどうなるかわからないというものである。政治がアメリカの財政再建の行方を左右するということで、日本を離れる前に想定していた通りではあるが、その不透明感がより強まった。

一方で、皆が、アメリカの財政再建の行方よりも欧州連合(EU)の財政危機に高い関心を持っていたことも印象深かった。アメリカも財政再建の途上にあることから、EUの財政危機は自ら解決すべきであることが強調されながらも、もしEUの財政危機が深刻化したならば、アメリカ経済に多大の影響が及ぶ懸念も示されていた。