同期より早く出世したい

――出世地蔵をはじめ、出世と名のつく仏様は全国に数多くある。
 

浅草寺 被官稲荷

江戸っ子が崇めた出世の神様(東京都台東区)

町火消しの頭だった新門辰五郎(しんもんたつごろう)が、1854年に京都からお迎えしたという稲荷様。浅草寺の鎮守に当たる浅草寺の末社。銭塚地蔵・かんかん地蔵とビジネスの開運スポットが集中する浅草寺境内でも、とりわけ注目される社。被官という名前から就職や出世にご利益があるとされ、江戸時代から信仰を集めてきた。


 

銀座出世 地蔵尊

三越屋上にある穴場の開運スポット(東京都中央区)

銀座と出世が並んだいかにも景気のよさそうなお地蔵様だが、実は穴場の開運スポット。このお地蔵様が世に出たのは明治の初めで、三十間堀川の工事で地中より掘り出されたという。地蔵堂が建てられた頃はまだ銀座が繁華街になる前であったが、参詣者が列をなすほど集まり、露店まで出るようになった。震災と戦災で2度土に埋もれたが無事掘り出され、三越開店のときに屋上に安置された。てっぺんの地位を目指すのであれば、ぜひお詣りをしておこう。


 

西新井大師 出世稲荷明神

厄除け大師。本堂裏手で祈願(東京都足立区)

正しくは総持寺といい、平安初期に弘法大師空海がこの地の人々を疫病から救うために建立したと伝えられる。厄除け・諸病平癒で有名なお寺だが、本堂の裏手には出世稲荷明神が祀られている。
 


 

深川不動尊 開運出世稲荷

成田山の東京別院(東京都江東区)

深川不動は成田山新勝寺の東京別院。開運出世稲荷も成田山から分霊を迎えたもの。社は小さいが、ご利益は本山の保証済み。深川限定の願掛け狐という縁起物もある。

まだある全国の開運スポット

道頓堀出世地蔵●ミナミの繁栄を守る
(大阪府大阪市)
にぎやかな飲食店の中で提灯をずらっと並べているのが目印。空襲で埋もれたが、掘り出されたので「出世」。野心家向きのお地蔵様だ。

比叡山延暦寺 三面出世大黒天●三神合体“最強の財神”(滋賀県大津市)
比叡山延暦寺の総本堂の根本中堂のほど近くに安置されている。大黒天・毘沙門天・弁財天が合体した最強の財神だ。

清水寺 出世大黒天●黒い顔の大黒様
(京都府京都市)
清水寺本堂の西側に安置されている大黒様。近年修復され、造立された室町時代の姿に戻った。黒い顔は霊力の強さを表している。