全国で4万6000室の学生マンションを運営管理するジェイ・エス・ビーは、創業35年のユニークな企業である。同社の企画開発部では「新聞読みあわせ朝礼」をやっている。その特徴は部員の発表に対して、別の部員が質問や感想を言うことだ。どんな話題が出ても、対処して感想を言わなくてはならないから、緊張感のある朝礼となる。森高広部長はこう語る。

「ただ新聞記事を読み上げるだけではマンネリになってしまう。ひとつの記事に対して、それぞれの部員が感想や意見を述べることが重要です。聞く力と話す力をきたえるためにやっていることで、各部員の営業力アップにつながっています」

続けて、森部長は言った。

本業の不動産や都市開発の話ばかりでなく、プロ野球や芸能まであらゆることが話題に上る。

「いま、若い社員は新聞を読まなくなっている。でも、私たちの仕事は人間の生活にかかわるものですから、世の中の知恵や情報を把握していなければいけません。新聞にはそういった雑多な情報が詰まっている。別に仕事に関する情報でなくてもいいんです。情報に触れる機会を増やしたいと思います」

「朝礼のヒント」では、これまで数十社に上る朝礼を紹介したが、ジェイ・エス・ビーのそれを見学して、「いい朝礼とはすなわち他社がすぐに真似できるものだ」と感じた。

朝礼とはビジネスそのものではない。ビジネスに至る気持ちを盛り上げたり、基礎体力をつけるための朝の活動だ。それはいつでも、どこでも、誰もが簡単に参加できて、しかも、長続きできるものでなくてはダメだ。

朝礼に必要なこととは個性の追求ではなく、他社にもすぐに移殖できること、そして、長く続けることである。

その点、ジェイ・エス・ビーの「新聞読みあわせ朝礼」はどこの会社でも、明日からすぐにやれる。内容を論じる前にまず、シンプルな朝礼をやってみることだ。

(浮田輝雄=撮影)