ジェイ・エス・ビーは学生マンションを主に、不動産物件の企画開発から紹介斡旋までを手がける会社だ。全国で4万6000室もの学生マンションを運営、管理している。年商313億円で、従業員総数400人。来年からは老人施設の企画運営にも乗り出す。創業1976年。学生下宿の斡旋業から進化したベンチャー企業である。

「不動産の企画開発に重要なのは、情報を正確に入手すること。そして、入手したら素早く行動に移すことです」

企画開発本部の森高広部長はそう語る。そうした同社のポリシーを従業員に徹底するため、毎朝、行っているのが「新聞読みあわせ朝礼」だ。

午前8時。企画開発部の部員9人が着席し、それぞれが新聞を広げる。森部長が「おはようございます」とあいさつすると、新聞読みあわせ朝礼がスタート。「では、それぞれ気になる記事と、どうして、それに目を留めたか、理由を話してください」。

朝刊は各自が朝食と一緒にコンビニ等で購入する。京都新聞の読者が多いのは土地柄か。

ひとりが「京都新聞の11面です。滋賀県の再開発についての記事が載っています」と話し始め、「当社の仕事にもつながるかもしれないので、県庁に詳細を聞きに行ってきます」とまとめた。部員は全員、意見を発表する。それぞれが挙げた記事の内容を聞いていると、不動産開発、都市部の住宅問題といった仕事にかかわる記事が多い。だが、森部長によれば芸能やスポーツなど、仕事以外の記事についての発表もあるという。新聞はそれぞれが選んだもので、日経新聞、本社がある京都の地元紙を読む人間が多い。

感心させられたのは、記事をただ読み上げるだけでなく、他の部員にも記事に対する感想を発表させることだ。新聞を読み上げるのをちゃんと聞いていなければ、感想は言えない。発表者だけでなく、参加者全員に緊張感を持たせ、さらに、その場で瞬間的に考える力をきたえる朝礼だ。

(浮田輝雄=撮影)