最も怖いのはリスクを取らないリスク

社会人1年目から現在までの「キャリアの成長角度」を社員に描いてもらうと、リスクを怖がらない人の成長パターンが見えてきます。

典型的なのは実績を挙げたら試練が待ちかまえていて、克服すると新たな試練がやってくるという「実績+試練型」の波を経験してきた人です。波の振れ幅が大きいほど、成長の角度が大きく、仕事で成果を挙げています。

「営業に配属され結果を出したら、新規事業を任され売り上げ低迷。頑張って這い上がったら、ITバブルが弾けて再びどん底に。苦肉の策でネットショップを立ち上げるものの、オープン初日にシステムトラブルでクレーム大量発生。地道に改善を図り、ついに大当たり。役員に抜擢」というストーリーを思い浮かべるとわかりやすいでしょうか。

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キャリアの成長角度

振れ幅が大きいということは波の山か谷のところで「この先起きることは、まったく予想できない」ぐらいの決断経験をしている、つまり、結果的にはリスクを取っているということです。

この例で言えば、上司から言われて新規事業を「やります」と引き受けた時点で決断があり、ITバブルの最中にネットショップを立ち上げるのも決断です。決断がなければその人の成長もありえなかった。決断の経験を早くから多く持つ人が、リスクを許容でき、リスクをリスクと思わない体質に変わっていくのです。

逆にリスクを怖がる人は、成長角度の振れ幅が小さい。会社に依存していて仕事も受け身。スキルが伸びていたとしても「7年ぐらいでだいたい係長になれる」と踏んであえて大きな決断を避けるタイプです。

こういう人が仕事で大きく成長するかといったら、できない確率が高くなる傾向があり、むしろいつの間にか後輩に追い越されている危険性もあります。

決断を避けて「リスクを取らないでいるリスク」のほうが、ずっと怖いのです。