「(菊川剛前会長兼社長を含む)3人の刑事告発は、必要であれば考える」――精密機器大手のオリンパスは11月8日、高山修一社長が会見を開き、1990年代頃から有価証券投資などに関わる損失計上の先送りを行っていたこと、買収資金などがその損失の先送り解消のために利用されていたとして、そこに関わった森久志副社長を解任。山田秀雄常勤監査役も辞任した。

「OBどうしで会うと、皆が企業年金を心配している。人生設計がすべて狂うから、『菊川のヤロウ』と怒っている」

長年同社に在籍したOBがそう明かす。

「愚直な技術屋の会社」(前出OB)だった同社がなぜ“こうなった”のか。

「代々技術系がトップに立っていたが、旧第一勧銀出身の北村茂男社長(在任73~84年)が垢抜けた会社にしようとした一方で、技術畑の人たちが割を食い、その路線を継いだ下山敏郎氏(同84~93年)は『一般消費者を相手にしてこそ一流』とカメラに注力。内視鏡部門とカメラ部門の内部格差を生んだ」

以降、カメラ中心の海外事業畑出身がトップに立ったのはそのせいだという。

「ワンマンだった下山社長は、バブル期にオプティカルヘッドやバイオ分野に異常なほどの投資を行った。その“後始末”のために証券会社に接近したのではないか。その窓口となった山田氏は、恐らく多くの弱みを握ったのだろう。今回名前が頻出する野村証券OBと山田氏との関わり方は尋常ではなかった」(同)

次の岸本正壽氏(同93~2001年)の後を継いだ菊川氏は、下山氏の子飼いだった。高山社長は会見で、「恐らく菊川体制以前にも調査の可能性はある。(前の代から)引き継いだものと認識している」と言及している。

「菊川氏は相当なバクチ好きで、組合費でもよく飲み食いしていた。今から思えば、当時から会社を私物化する向きがあったと思う。『娘がファン』というタレントをCMに使ったりもしていた」

このOBはそういって嘆息した。

「裏社会との関わりへの疑惑すら月刊情報誌で報じられ、ウラでは政界の某閣僚経験者とも無縁ではなかった。再生に向けて、すべての膿を出し切らなければ、再生はないでしょう」