「小沢一郎さんほど、公私の区別を厳格につけている政治家はいない」――10月28日の民主党・小沢一郎元代表の裁判で、小沢側弁護人は語気を強めた。

証人として出廷した石川知裕衆院議員(小沢被告の元秘書)に対し、弁護人は小沢被告の政治団体「誠山会」の会計について質問。石川証人は、小沢被告の交際費(飲み食い)を誠山会がいったん政治資金で支払ったうえで「小沢先生が個人的に使ったものは後日返金してもらっている」と証言。これを受けた弁護人が冒頭の発言で小沢被告を持ち上げたのだ。

全国紙司法記者が苦笑を浮かべる。

「ブラックジョークそのもので呆れるしかありません。小沢裁判では、小沢被告の政治団体が小沢被告の妻、和子夫人に賃貸料名目で毎月344万円、年間にすると毎年4000万円以上を支払っていることが初めて明らかになった。女房に家賃を払っている政治家なんて聞いたことがない。公私を峻別しているなんて、よくも言えるものです」

東京・世田谷区の小沢邸は高い塀で四方を囲まれているが、不思議なことに、敷地内の一部に第三者名義の土地と建物がある。和子夫人はそこを借りて政治団体に又貸ししており、それらの賃料が344万円というわけ。だが建物を借りるならば政治団体が直接、第三者から借りれば済むこと。そうせずに、わざわざ夫人を介在させていることから「政治資金を和子夫人に還流させているのでは」という憶測を呼んでいるのだ。

指定弁護士(検察官役)の冒頭陳述によると、和子夫人への支払いは1992年頃から始まったとのことで、総額4億~5億円もの巨額の政治資金が和子夫人に支払われた可能性がある。

また、小沢系政治団体の政治資金で購入した多数の不動産(最盛期で10億円超)の登記名義人はすべて小沢被告の個人名。今後、小沢被告の家族らが不動産を相続する可能性も指摘されている。

さらに、小沢被告は個人的に購入した港区南青山のマンションを政治団体に買い取らせ、その後政治団体から買い戻したほか、81年に和子夫人が4200万円で個人的に購入した岩手県内のビルを、その18年後に同じ4200万円で、陸山会が政治資金を使って購入したこともある。名義は和子夫人から小沢被告に変わっただけ。これでも「公私の区別」をつけていると言えるのだろうか。