震災後、一人暮らしが不安になった高齢の親が、現役世代の息子や娘の元へ身を寄せる「にわか同居」が増えている。

なかには、短期間のつもりで呼び寄せたら、「私の勤務中に、ご近所のインターホンを押しまくり大騒ぎに。認知症がすすんでいてビックリ」(40代 情報会社勤務・シングル男性)など、離れていては気づかなかった親の老化に直面し、目の前が真っ暗になるケースも少なくない。こうした例によるまでもなく、親の介護が気になる現役世代は多いはずだ。そこで気になるのは、やはりマネーだが……。

介護費用は子育てと違い、先が見えないだけに不安が募る。平均的な介護期間は4年7カ月(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」平成21年度より)。介護保険サービスの一人当たりの月額は、介護度が重くなれば上がるが、平均で自宅の場合1.1万円、特別養護老人ホームなどの施設入所の場合で、3.3万円となっている。だが残念ながら平均値は気休めにしかならない。個人差があまりにも大きいからだ。

たとえば私自身、両親介護期間は16年。長くなれば費用はかさみ、介護費用の総決算は、父の厚生年金とわずかな企業年金、退職金など預貯金のすべてだった。

また86歳になる母親(要介護3)と同居中のメーカー勤務の女性(50代)は、「ひと月の医療費が約1万円、訪問介護とデイサービスなど介護サービス費が2万5000円、見守りの有償ボランティア代が3万~5万円、食費やおむつ代などで月々10万円見当。兄からの支援金と母名義の年金に300万円足らずの貯金を切り崩しての綱渡り」と語る。