どんな「才能」があるか知人に聞いてみよ

経営コンサルタント 中島孝志●1957年生まれ。早大政治経済学部卒業、南カリフォルニア大学大学院修了。著訳書は200冊を超える。

「副業」に興味を持っているサラリーマンは多いですね。セミナーを開くと、希望者が殺到します。ところが参加者に「何をやりたいのか」とアンケートを取ると、明確に答えられる人は少ない。多くは「起業したら儲かるかな」とか、「将来不安だから今のうちに副業を始めよう」などと考えています。男女問わず、やりたいことが漠然としていて、「売り」のある人は多くないんですね。

この不景気ですから、同じ副業でも、収入の目減りに充てる「損失補填型」が多くなっています。しかし今やっている仕事にプラスして自分の時間を売るのでは、無理が生じ長続きもしません。

副業にはほかにも、人脈など副業の成果が本業にも活きる「シナジー型」や、副業が副業を呼んで広がる「未来志向・自己実現型」があります。副業をするならこれらを目指すべきでしょう。

たとえば今の仕事で、週末と祝日が休みだとします。すると1カ月のうち自由になる時間は100時間くらい。法定残業時間が45時間だからその2倍ですね。これだけあれば、サラリーマンとしての安定した立場は維持しつつ、自由時間を自分の「才能」を磨くために充てられます。「財テク」ならぬ「才テク」です。

私の周囲だけでも司会業や落語、マジックなど思わぬ「才テク」の副業を成功させた人たちがいます。このためには、「できること」と「できないこと」を明らかにしたうえで、「できるようになるには何をすればいいのか」を考えることです。このとき自己評価だけだと、「やりたいこと」に注目しがち。これではうまくいきません。