<strong>大黒天物産社長 大賀昭司</strong>●1956年生まれ。藤徳物産勤務などを経て93年5月に現在の会社を設立して現職に就任。
大黒天物産社長 大賀昭司●1956年生まれ。藤徳物産勤務などを経て93年5月に現在の会社を設立して現職に就任。

「モノが売れない」とよくいわれます。しかし2009年度、当社は売上高770億円(前年度比4.8%増)、営業利益37億5000万円(同4.6%増)と、1986年に創業してから20年以上にわたる増収増益を見込んでいます。

中国・四国地方を中心に50を超える食品ディスカウントストアを展開していますが、「最安値の追求」というコンセプトがお客様に支持されているのだと思います。それが可能なのは、商品を絞り込んで大量に仕入れてきたからです。1店当たりの商品点数は約4500で、同規模の競合店の約3割にすぎません。選択と集中でスケールメリットを出し、その分を価格に反映させてきました。

もちろん、それは大黒天物産だけではできません。食品メーカーや問屋という取引先の協力があってこそできることなのです。いわば、彼らは大切なビジネスパートナーです。それでも1年間で、現在取引をしている約400社のうち1割が入れ替わっています。

なぜなら、仕入れに際して、常にお客様の立場を優先して考えているからです。1円でも安く、そして少しでも価値の高い商品を提案してくれる取引先を採用しています。それが取引を決める際の唯一の判断基準です。私どもが、取引先からお中元やお歳暮の受け取りを固辞しているのも、「それならお客様に1円でも安く供給してほしい」という思いからなのです。

かなりビジネスライクなようですが、逆にいえば「大黒天物産は、いまより安くて、よりよい商品を持っていけば、必ず買ってくれる」という安心感をメーカーやベンダーに与えることができます。長い目で見れば、当社にも取引先にもプラスになります。つまり“共存共栄”の関係が築けるのです。