途中からとなるとはっきりいって難しい

近くに部屋を借りるなどして、一緒に住むのは極力避ける<br><strong>脚本家・小説家 山田太一</strong>●1934年生まれ。松竹を経て、65年フリーに。主にテレビドラマの脚本を執筆。作品は「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」など多数。
近くに部屋を借りるなどして、一緒に住むのは極力避ける
脚本家・小説家 山田太一
1934年生まれ。松竹を経て、65年フリーに。主にテレビドラマの脚本を執筆。作品は「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」など多数。

できれば、年老いた親との同居は避けたほうが賢明でしょう。

だいたい、それまで離れて暮らしていれば、生活のスタイルやリズムが違うに決まっています。食事の時間や、見たいテレビ番組も合わないというのに、親子というだけで突然ひとつ屋根の下で暮らし始めても、そう簡単にうまくいくはずはありません。

ずっと一緒に住んできた実績があるのであれば、その間に相当の苦労はあったとしても、それぞれの性格もわかっているし、お互いにうまくやっていく智恵も身についているでしょう。なにより時間に裏打ちされた絆ができあがっているはずですから、子どもが同居の親をそれこそ死ぬまで面倒を見るというのは大いにありうるし、すばらしいとも思います。

しかし、途中からとなると、これははっきりいって難しい。いくら親に生活を合わせてくれといってみたところで、長年にわたってからだに染みついたリズムや習慣はそう簡単には変わりません。親のほうにしても、いまさら変えたくもないでしょう。かといって、年寄りのペースに自分たちが合わせようと無理をしても、とりわけ多感な時期の孫がいるようなケースでは、家庭がめちゃくちゃになってしまいかねません。

それに、実の親であればまだしも、舅や姑というのは実体は他人です。家庭の中にいきなり他人に入ってこられたら、それだけでもう並々ならぬストレスになります。

うまくいく可能性がありそうなのは、妻の母親を引き取る場合でしょうか。これですと、世話は自然に妻がすることになりますから、男は直接関与しなくても済みます。一方で、引き取るのが義理の父親となると、同性としてどうしても構えてしまうので、精神的にはかなりの負担になる男が多いでしょう。