「飲み始めて1カ月ほどで朝、枕につく抜け毛が少なくなったんです。それまで、家族に『うちで一番薄毛なのに、抜け毛が一番多いよね』と言われてたのに……」

<strong>横浜すずきクリニック院長 鈴木敏彦</strong>「皮膚科の医師が薄毛では説得力がないと思ったのがきっかけです」
横浜すずきクリニック院長 鈴木敏彦「皮膚科の医師が薄毛では説得力がないと思ったのがきっかけです」

にっこりしてこう話すのは、形成外科・皮膚科・美容外科の専門で横浜すずきクリニックの鈴木敏彦院長だ。「飲む育毛剤」として評判の「フィナステリド」(製品名・プロペシア)を患者に処方し、自らも服用して約1年、頭髪が増えたのを実感しているという。

「2、3カ月経ったころ、看護師さんから『変わったんじゃないですか』と言われました。仕事柄、彼女たちは座ってる私を見ることが多いのでよくわかるんですね」

看護師以外の知人からも「何かやった?」とストレートに指摘されたこともあり、それで治療の経過を確認するために撮影していた写真を見ると、確かに変化が見られたというのだ。

「ふさふさだった髪が、30代後半ごろから薄毛が進行している自覚はありました。それが40代後半になって、メタボリックシンドロームになり、さらに薄毛も進行して……。このままではいけないと体重を落とすのと同時に、毛髪も改善しようと欲が出たんです」

そんなときに、後輩の男性型脱毛症(AGA=Andro Genetic Alopecia)治療に詳しい医師から治療の話を聞いたり彼の著書を読んで、医師として試してみる価値があるかもしれないと使い始めた。

「それと職業柄、フィナステリドを勧める皮膚科の医者が薄毛だったら、患者もあまり言われたくないのではないかとも考えました。たとえば、太っている糖尿病の医者が、『もっと痩せなさい』『ちゃんと食事制限しなさい』と糖尿病患者に注意しても、いまいち説得力がないのと同じだと思ったんです」

実は私も立派なAGAで、プロペシアを飲むようになって5カ月、洗髪のときに指先に絡みつく髪の抵抗感が増してきたなと感じ始めている。家族からも「頭頂部の産毛が伸びてきて、背後の壁が見えにくくなってきたみたい」と揶揄されているだけに、鈴木先生の話に、つい「うん、うん」とうなずいてしまう。