一見安く見えるのに安くならない“仕組み”

携帯各社、パケット定額制の上限には手をつけず!
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携帯各社、パケット定額制の上限には手をつけず!

2007年に導入された「分離プラン」によって、大手3社の基本使用料は980円にまで値下がりした。NTTドコモやauの場合、980円のプランに無料通話分が1050円付くため、実質的に基本使用料は0円とも言える状況である。そのため、これ以上の値下げは難しいと思われていたが、09年になって新たな料金競争が始まった。各社とも「パケット定額制」の下限を値下げし始めたのだ。

口火を切ったのはドコモ。1029円から4410円で変動していた「パケ・ホーダイ ダブル」の下限を、2009年5月に490円へと改定した。これに追随したのがソフトバンク。他社の値下げへの対抗措置として、390円から始まる「パケットし放題S」を発表した。ドコモとの違いは、既存の料金をそのまま値下げしたのではなく、新たなプランを用意した点だ。新プランの場合、ソフトバンク同士のメールが無料にならない(パケットがカウントされる)などのデメリットがある。auは「ダブル定額スーパーライト」を8月に開始した。こちらも390円からのパケット定額制。各社、下限の値下げ競争が激化している。ドコモは8月から「パケ・ホーダイ ダブル」の下限を390円へと見直した。

ただし、各社ともパケット定額の上限には手をつけておらず、3社とも4410円のままである。通話料収入が落ち込む中、携帯電話会社が重視しているのがこのパケット収入。上限を値下げすると業績への影響も大きく、なかなか値下げに踏み切れていない。

データ容量の大きなコンテンツをダウンロードすれば、上限に達するのは意外と早い。たとえば、ドコモのパケ・ホーダイ ダブルだと、5万2500パケットで4410円になる。1曲1.5メガバイトの着うたフルなら3曲弱。10メガバイトの動画だと、1本観ただけで上限に跳ね上がることもある。下限を低く設定することによってパケット定額制契約者を増やしつつ、大容量コンテンツを利用させて上限の料金を取るというのが、携帯電話会社の戦略なのだ。

ユーザーはメールや乗り換え案内、天気予報などのサイト閲覧程度の利用にとどめることにより、節約することはできる。では、データ量の大きなコンテンツを使いつつ、下限の値下げを享受する方法はないのだろうか。

その方法のひとつに、無線LAN対応端末の購入がある。夏モデルでは、ドコモの「N-08A」、auの「biblio」、ソフトバンクの「931N」が、いずれも無線LAN接続機能を内蔵する。これらの端末で「ホームU」(月額490円)、「Wi-Fi WIN」(月額525円)、「ケータイ無線LAN」(月額1029円)というサービスを契約すれば、インターネット経由で携帯用公式サイトにもアクセスできる。もちろん、固定のブロードバンド回線が別途必要になるが、パケット代は一切かからない。出先ではメール程度にとどめておき、着うたや動画は自宅の無線LANで楽しむようにすれば、月々のパケット使用料を下限の範囲に抑えることが可能になる。

携帯各社はパケット通信の裾野を広げたい半面、一部のユーザーによるデータ通信の占有を問題視しており、この一部を、無線LAN経由で固定回線に逃がしたいという思惑がある。したがって各社は無線LAN対応端末のラインナップを、今後も増やしていくだろう。端末代は少々高いが、上手に利用すれば元は取れるはずだ。

※すべて雑誌掲載当時