次期駐日アメリカ大使 ジョン・ルース

1955年、カリフォルニア州生まれ。80年スタンフォード・ロースクールを修了後、88年からウィルソン・ソンシーニ・グッドリッチ・アンド・ロサティ法律事務所に勤務、現在CEO。オバマ大統領より次期駐日大使に指名された。


 

ジョン・ルース氏の駐日大使指名は、大統領選でオバマ候補に50万ドルを集めた資金調達者に対する「論功行賞」だとの見方が強い。駐日大使については、クリントン政権で国防次官補を務め、知日派で知られるハーバード大学のジョセフ・ナイ教授(71歳)にほぼ決定と日本の大手マスコミが報道していた。それだけに公務経験もない無名の弁護士が指名されたことに、「日本軽視」ではないかという戸惑いが日本の関係者の間で広がった。

ルース氏はスタンフォード・ロースクールを修了後、シリコンバレーの100人に満たない法律事務所に入り、M&Aなどを手掛けた。ここで彼は、ITをはじめとする先端分野に目を向けて業務を拡大させ、弁護士600人を超える全米有数の法律事務所に育てた。顧客にはグーグル、アップル、サン・マイクロシステムズなどの先端企業が並ぶ。日進月歩のハイテク産業の利益と社風を的確に理解し、弁護士として諸案件を処理する能力には定評がある。

若い頃より民主党支持者で知られ、昨年11月の大統領選挙当日は、シカゴでオバマ大統領候補(当時)とホテルの同じ部屋で開票を見守った。大統領の携帯電話に直接連絡できるほど、その信任も厚い。

論功行賞で割り当てられる大使の赴任先は英、仏など問題の少ない国で、日本も「普通の国」になったと見る向きもあるが、オバマ大統領はナイ教授のような親日・知日家でないルース氏を起用することで、日米関係を新たな視点で見ようとしている可能性がある。

ルース氏の忠誠心とコミュニケーションや交渉能力が高く評価されたことは間違いなく、大統領が国務省や国防総省を介さずに日本の考えを聞くこともありそうだ。こうしたことを生かせるかどうかは日本側の姿勢次第だ。

(写真=AP Images)