経営再建中の日本航空に対して、米国デルタ航空、アメリカン航空が支援に名乗りを上げた。抜本的な費用構造を改善させるために、各航空会社の本社レベルでの結びつきを強めなければならないと筆者は説く。

 

日米航空路のオープンスカイへ向けたJAL争奪戦

先日、筆者が北京に出かけるために成田空港から乗った飛行機の中で読んだFinancial Times(2009年9月10日付)に、“Ties in the Skies”(「空の上の結びつき」)というタイトルの付けられた、世界の航空業界の国際的アライアンス(「スカイチーム」と「スターアライアンス」と「ワンワールド」)を比較分析した記事を見つけた。たまたま「空の上」でこのようなタイトルの記事を読んだこともあって、印象に残った。

また、その出張の帰路、偶然にも日本航空の機内で、アメリカのデルタ航空が日本航空に出資を打診しているという記事を日本の新聞のトップ面で見つけた。さらに、アメリカン航空も日本航空への出資を検討しているという記事が続いた。

前述した国際的アライアンスという点では、日本航空は、アメリカン航空と同じワンワールドに加盟している一方、デルタ航空は、もう一つのスカイチームに加盟している。これらのアメリカの航空会社にとっては、日米航空路におけるオープンスカイに向けての日本航空との提携の奪い合いという様相となっている。日本航空は、同じ国際的アライアンスに加盟する航空会社から資本提携を受けるのか、あるいは、異なる国際的アライアンスに加盟する航空会社から資本提携を受けるのか、どちらかを選択することになるだろう。今回は、この「空の上の結びつき」について考えたい。

実は、筆者が、06年8月14日号の「プレジデント」誌に、ニューヨーク証券取引所とユーロネクストなどの証券取引所の国際的アライアンスについて書いた際に、その出だしで、日本航空が航空会社の国際的アライアンスの一つであるワンワールドに加盟するという計画が出されたときだったことから、航空業界の国際的アライアンスを例に出したことがある。それが今から3年前のことであるから、世界の航空業界の状況がこの3年間で大きく変化しつつあることがわかる。いうまでもないが、この間に起こった最大の出来事は、アメリカ発の世界金融危機と世界同時不況である。

アメリカ発の世界金融危機と世界同時不況は、航空業界にも大きな影響を及ぼしている。サブプライム問題が顕在化する07年夏以前には、フライトが減便される前にもかかわらず、飛行機の中はビジネス客で込み合っていた。しかし、世界金融危機と世界同時不況以降、航空会社はフライトを減便しているものの、それ以上にビジネス客が減少したように見える。