国民年金だけでは老後は暮らせない。
自分で増やす方法は?

自営業者の場合、公的年金として加入しているのは国民年金だけ。国民年金に最高の40年間加入してもらえる年金の額は、2008年度で年額79万2100円。夫婦2人で受け取っても月額約13万2000円にしかならない。

そこで、国民年金の加入者が年金額を増やす方法がいくつかある。まずパターン(1)の「付加年金」。毎月の国民年金保険料にプラスして月額400円付加保険料を払うと、将来毎年「200円×付加保険料納付月数分」の上乗せ額を受け取れるという仕組み。2年間年金を受け取れば、払った付加保険料の元が取れる計算。ただし、付加年金は国民年金基金や個人型401k(確定拠出年金)と同時に加入はできない。

しかし付加年金では、上乗せされる額もわずか。そこで、パターン(2)の国民年金基金を検討したい。国民年金基金は、国民年金法に基づいて設立された公的な制度。終身年金、10年、15年などの期間限定の確定年金、保証期間付きなど年金のタイプがいろいろあり、それぞれ保険料も違っているので、自分が払える掛け金と老後の計画に合わせて加入しよう。掛け金の全額が社会保険料控除の対象となる点も自営業者にはメリット。掛け金の上限は月額6万8000円。

パターン(3)のように、個人型の401kに加入する方法もある。月額上限6万8000円までで自分で決めた掛け金を払い、自分で選んだ運用商品で運用する。401kの特徴は、将来受け取れる年金額が運用成績によって変動すること。申し込みは各金融機関へ。

パターン(4)のように個人型401kと国民年金基金は同時加入も可能だが、両方の掛け金の合計額が月額6万8000円を超えることはできない。

自営業の上乗せ年金の種類


国民年金基金は、年齢によって掛け金が決まるので、早く入るほど月額の保険料は低く抑えられる。個人型401kは、ある程度の運用期間をとったほうが将来プラスになる可能性が高い。

また、国民年金に未納期間がある人の場合は、60歳以上65歳未満の間に、国民年金保険料を払って任意加入しよう。08年度価額では、1年の未納期間を埋めると、年間約2万円受け取る年金額が増える計算になる。

このほかに老後に向けた貯蓄も実行したい。しかし自営業の場合、定年に関係なく働けるとすると、元気に長く働ける環境をつくっておくことが、実は一番の老後対策かもしれない。

(構成=生島典子)