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図表1 2008年度における日本テレビの収支構造

莫大なCM収入によって、高給を払っても十分やっていけるテレビ局。ならば制作費にもたっぷりとお金が使われていると考えるのが普通だろう。

しかし、現実は大きく異なる。図表1でもおわかりのように、テレビ局では人件費とは別に番組制作費が計上されている。これはテレビ局が番組制作を制作会社に外注しているためである。

テレビマンの人数は意外と少なく、キー局のなかで最も多いフジテレビでも約1400人強、テレビ東京では700人に満たない。TBSでは04年に全社員約1200人のうち、7割を子会社に出向させる人事改革を行っており、現状では200人程度。だが、実質1000人前後の社員で、1年・365日、毎日ほぼ24時間放映する番組を作り続けるのは不可能であり、代わって外部の制作会社が制作を担っているのだ。

先の日本テレビの番組制作費は1112億円で、売上高の4割程度にすぎない。そこにはタレント出演料ほか、各種の経費も含まれる。番組はテレビ局にとって商品である。それにもかかわらず十分なコストがかけられていないのはなぜか。

その理由の1つに、制作会社が多いことによって価格競争が起き、制作費を抑えやすいという背景が挙げられる。

テレビ局はキー局5社の独壇場であるのに対し、制作会社は数が多く、就業人口は推計で約4万人。それだけ競争原理が働きやすく、コストダウンの受け皿に甘んじやすい体質を持つ。制作会社の規模には大小あるが、最も多いのは11~50人で全体の約5割。全体の約8割が50人以下で占められている。