顧客は何を楽しみにしているか

<strong>仲山進也</strong>●楽天大学学長。1973年、北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。シャープを経て99年に社員数20名の楽天に入社。2000年に楽天大学を設立。楽天市場に出店する約3万店舗を売り上げアップに導いた実績を持つ。
仲山進也●楽天大学学長。1973年、北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。シャープを経て99年に社員数20名の楽天に入社。2000年に楽天大学を設立。楽天市場に出店する約3万店舗を売り上げアップに導いた実績を持つ。

楽天では2000年から「楽天大学」という出店者向けの教育機関をつくり、店舗さんの成長を応援し続けています。

楽天大学がスタートしたのは、楽天市場が始まって3年が経過した頃。私たちとして店舗さんに伝えたい情報や考え方が蓄積されてきていたのでそれを体系化し、まとまった形で伝えたいと考えたのです。

その際、CEO三木谷浩史から「フレームワークを共有してほしい」というオーダーがありました。MBAでケーススタディをたくさん学ぶのはフレームワークを理解し、自分で現実に当てはめて「この状況だったらこうかな」と考えられるようにするためです。楽天大学でもそういうフレームワークをつくれということでした。

たとえば楽しさのフレームワークがあれば、人が楽しさを感じる状況を分析したり、楽しさというベネフィットを生むアイデアを出したりしやすくなります。

そこで楽しさの視点を因数分解してみると、次の5要素に分けられます。

(1)カラダが喜ぶ(SENSE)→五感
(2)ココロが喜ぶ(FEEL)→感動、安らぎ、心地よさ
(3)アタマが喜ぶ(THINK)→ワクワクイメージ、アイデア発想
(4)ステキな生き方(ACT)→夢中、体験、ライフスタイル
(5)人とのつながり(RELATE)→共感、信用、信頼

これは米コロンビア大学のバーンド・H・シュミット教授が考えた「経験価値の5つの視点」をアレンジしたものです。この5要素の視点で、提案の通る同僚やイケてる営業マンを観察してみてください。彼らがどこに着目しているのかを考えてみると、今まで見えなかった凄さが見えてくるはずです。