夜更かしが続くと、朝起きても眠かったり、体調がすぐれないと感じたりすることがある。スタンフォード大学医学部精神科の西野精治教授は「体内時計がうまく働かなくなるのが原因だ。症状によっては入院でよくなることもある」と指摘する――。

※本稿は、西野精治『睡眠障害 現代の国民病を科学の力で克服する』(角川新書)の一部を再編集したものです。

コンピュータとコーヒーマグ電話にブラックの木製テーブルの日の出
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睡眠時間が後ろにずれる人、前にずれる人

体内時計がうまく働かなくなるのが、概日リズム睡眠障害です。概日リズム睡眠障害は大きくふたつのタイプにわかれます。

ひとつは、体内時計をリセットする機能に問題が生じて起こるタイプで、内因性概日リズム睡眠障害と言います。もうひとつは、人為的・社会的な理由によって体内時計を短期間にずらさなければならない場合に起こるタイプ。

内因性概日リズム睡眠障害としては、深夜にならないと寝つけず昼頃まで起きられないという睡眠パターンで固定される睡眠相後退症候群、逆に夕方になると眠ってしまい早朝に目が覚めるパターンで固定される睡眠相前進症候群、体内時計リセット機能が働かなくなるフリーラン(非24時間睡眠覚醒症候群)があります。

人為的・社会的な理由により起こる障害としては、シフト制の交代勤務によって生体リズムが乱れる交代勤務睡眠障害、時差のある場所へ行くことによって発現する時差症候群、いわゆる時差ぼけがあります。

睡眠相後退症候群は、睡眠時間が後ろにずれ、起床時間が遅くなります。寝るのはだいたい深夜3~6時で、起きるのは午前11時~午後2時。時間は多少ずれますが、睡眠時間や睡眠周期は正常なので、午後出勤でも構わない仕事なら健康面の影響は小さいでしょう。