あなたの職場の「最年長社員」はどんな人だろうか。サイバーエージェントの広告営業で最年長、最長歴社員である神永慎吾さん(40)は「入社した当時、いずれは起業したいという夢がありました。でもいまは起業したいとはまったく思いません」と話す。連載ルポ「最年長社員」、第2回は「IT企業社員」――。

執行役員は自分より年下の「40歳営業社員」

インターネット広告事業で国内最大手のサイバーエージェントは、東京・渋谷に本拠地を構えている。

東急東横線が地下化され、新たに渋谷ヒカリエ、渋谷スクランブルスクエアという高層ビルが立ち、渋谷駅の南西部を占める桜丘地区との一体化を目指した大規模な再開発が進められている渋谷駅周辺は、しばらく訪れないと自分がどこにいるのかわからなくなってしまうほど、目まぐるしく変化し続けている。

サイバーエージェント(以下CAと略)のインターネット広告事業本部営業局における最年長、最長歴社員である神永慎吾(40歳)は、そんな生き馬の目を抜くような渋谷界隈で働いている割には、いきり立ったところをまったく感じさせない風貌をしている。

テーブルの奥に腕を組んで立つ男性
撮影=遠藤素子

アシメというのかミディアムというのか、ボサッとした髪型にグレーのパーカーを着込んだ姿は、動物に例えればコアラのイメージ。所属するインターネット広告事業本部の2人の執行役員の年齢が30歳と37歳と聞くと、内心は穏やかではないだろうと邪推したくなるが、悠揚迫らぬ態度とでも言えばいいのか、神永の語り口はあくまでも淡々としていて、激したり、卑屈になったりするところがまったくない。

一方で、入社以来17年間、一度も異動することなく営業局で仕事をし続けてきた神永を取り巻く環境は、まさに渋谷的な激変を遂げてきたと言っていい。