スッポン取材で解き明かした、知られざる世界

スッポンのイワセ。20代の駆け出しのころから、異名をとった。対象に1度食いついたら離さない取材姿勢を「不器用だから」と自己分析する。

ジャーナリスト 岩瀬達哉氏
ジャーナリスト 岩瀬達哉氏

「器用な書き手は、ある程度の材料で一定水準の原稿を書ける。私は疑問が少しでもすっきりしないと、書こうにも気持ちが乗らないんです」

これまで食らいつき、真実を追求した対象は、記者クラブ制度、年金問題、パナソニックの人事抗争、グリコ・森永事件など多岐にわたる。その都度、妥協を許さない取材活動が、「真実を話したくても、語る機会がなかった人々」との幸運な出会いをもたらしてきた。そして今回、矛先を向けたのが裁判官の世界だ。

「裁判官はそれぞれの良心に従い、憲法と法律にのみ拘束される独立した存在だと私も思い込んでいました。ところが、行政における官僚と同様、人事による統制で縛られ、独立などしていない。その知られざる世界に光を当てなければならないと思ったのです」