AP/AFLO=写真
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IAEA(国際原子力機関)事務局長 天野之弥(あまの・ゆきや)
1947年、神奈川県生まれ。72年、東大卒業後、外務省入省。軍縮不拡散・科学部長など、主に核不拡散・原子力畑を歩む。2005年にIAEA理事会議長。09年に同事務局長(第5代)に就任。


 

3月11日に発生した東日本大震災は、東京電力福島第一原発事故という日本の原発史上最悪のトラブルをもたらした。とりわけ、水素爆発によって原子炉建屋が吹き飛ぶ衝撃映像は、世界を震撼させ、チェルノブイリ原発の悲劇すら想起させた。

この原発事故で素早く動いたのが、核の番人とも言われるIAEA(国際原子力機関)である。原子力の平和利用を促進し、軍事転用を監視する国際機関で、2005年にはノーベル平和賞を受賞している。そのIAEAの代表である事務局長が、09年12月に就任した天野之弥氏である。

原発事故発生後、日本側からの情報提供が少なく、日本政府のリスク管理の甘さが露呈。また、IAEAの専門家チーム派遣の打診にも受諾の回答が遅れるなど、IAEA内部では相当に苛立ちを募らせていた。

天野氏は、核兵器不拡散などのほかに発展途上国の原発推進にも取り組む姿勢を示していた。それだけに、原発事故や放射能漏れなどに対する諸外国と日本政府の温度差に、強い危機感を持っていた。18日には、1泊2日の強行軍で自ら来日し、菅直人首相など政府高官とも相次いで会談している。

地球温暖化問題や原油など化石燃料価格の高騰で、世界的に原発見直しと建設計画が推進され、原発ビジネスも軌道に乗りつつあった矢先だっただけに、海外では日本政府の対応への不満も多い。問題解決には長期化が避けられない状況の中で、日本に対する説明責任を求める声が高まるのは確実だ。

6月には原発の安全性強化について話し合うIAEAの閣僚級会合の開催が決まった。今回の原発事故の原因究明や原発事故での国際的な協調体制づくりなども議題になる。天野氏がどんな姿勢で対応するのかが注目される。

(AP/AFLO=写真)