社会の分断を推し進めるのは分断を嘆く人々

「トランプみたいな面白い人、いないのに。何でみんな楽しめないんだろう。欧州の極右政党の人たちとよく一緒にされますが、本当に悪いあの人たちとは全然違いますよ」

パシフィック・アライアンス総研所長 渡瀬裕哉氏
パシフィック・アライアンス総研所長 渡瀬裕哉氏

そう言って笑う著者は、ヒラリー・クリントン氏当選が当然視された前回2016年の米大統領選をきちんとした票読みで分析、トランプ氏当選を言い当てて注目された。今も判で押したようにトランプを攻撃する国内外の主要メディアとは異なる立場を取る。ちなみに次期大統領選は、「みんなトランプ再選だと思っているけど、今は五分五分」(20年2月21日時点)と言う。

そのトランプの出現に象徴される「社会の分断」が言われて久しいが、本書の指摘で面白いのは、分断を嘆いてみせるアカデミズムやマスメディアが、実はその分断を推し進めている、という逆説だ。