子どもなどの扶養親族がいると納める税金が安くなる扶養控除。この制度を適用するには、扶養される人の年収に上限がある。税理士の佐久間裕幸氏は、「年収が103万円を超えると扶養から外れて納税額が増える。会社から支給される家族手当もなくなる場合がある」という――。
パブで働く男性の仕事像
写真=iStock.com/kazuma seki
パブで働く男性の仕事像

年収103万円を超すと親の扶養控除から外れる

昔から大学生はアルバイトをしてお小遣いを稼ぐものだったが、親の側の仕送り額も十分に出せないといった事情で、小遣い稼ぎというより学費を稼ぐためにアルバイトが必須という学生も少なくない。しかし、アルバイトで収入が増え過ぎると親をも巻き込む問題が生じることがある。行き過ぎた学生バイトがもたらす金銭的迷惑について解説してみたい。

主婦のパートでしばしば耳にする「103万円の壁」。これを超えると配偶者控除から外れ、本人と配偶者の納める税金の額が増えてしまうため、稼ぐ金額に気を付けている人は多いだろう。

この「103万円の壁」は学生のアルバイトにも影響してくる。この金額は、給与所得控除65万円と基礎控除38万円の合計額である(2020年からは給与所得控除55万円と基礎控除48万円に変わるが合計は103万円)。

アルバイトの年収が103万円以内なら、控除により課税所得が0円になるので、学生本人に税金がかからない。実は、これが親の所得税・住民税を計算する上での扶養控除にも影響してくる点にも注意が必要だ。