新型コロナウイルスの対応をめぐり、首長の危機意識が露わになってきた。和歌山、北海道、大阪などが評価を高める一方、小池百合子・東京都知事は危機意識の薄さが指摘されている。3月24日には安倍晋三首相との会談に臨み、「グータッチ」を交わした。この日、「東京五輪1年延期」と「7月の都知事選で自民が支援」が決まっている。首都封鎖が目前の今、それでいいのか――。

緊張感が伝わらなかった外出自粛要請会見

「今の状態は、感染爆発重大局面。この認識を皆さんと共有し、難局を乗り越えていきたい」

3月25日夜。小池氏は緊急記者会見を開き、都民に対し週末は不要不急の外出を控えるよう呼び掛けた。都内の陽性患者は23日は16人、24日には17人、そしてこの日は41人に跳ね上がっていた。この事態を受けて、小池氏は、28、29日の週末、東京都民に向けて外出の自粛を要請したのだ。

写真=時事通信フォト
3月12日、東京都の小池百合子知事(左)と会談前、握手の代わりに拳でタッチする安倍晋三首相。24日の会談終了後にもグータッチをしたという。

極めて緊迫した内容を語る会見ではあったが、小池氏は時に笑みを見せるシーンもあった。都民に対し、過度に恐れないように気を使ったのかもしれない。しかしテレビを通じて会見を見ていた人の中には、小池氏自身に危機意識が足りないと感じた人もいたことだろう。

実際、この25日の会見では、記者団から感染爆発の判断基準を尋ねられて「有識者の助言をいただきながら、政治的な判断も必要になってくると思う」など、あいまいな答弁を繰り返した。感染症に対する知識、非常事態に対応するガバナンスが足りないと言われてもしかたない。