2014年に俳優の宇津井健さんが亡くなった後、一人息子と後妻の女性の間で相続をめぐるトラブルが起きた。トラブルの発端は、宇津井さんが亡くなる5時間前に女性と結婚したこと。「泥沼相続」となりかけた背景を、税理士の井口麻里子氏が解説する――。
人気刑事ドラマシリーズ「相棒」の劇場版第2弾の製作会見に出席した俳優の宇津井健さん=2010年8月9日、東京都練馬区
写真=時事通信フォト
人気刑事ドラマシリーズ「相棒」の劇場版第2弾の製作会見に出席した俳優の宇津井健さん=2010年8月9日、東京都練馬区

「男のケジメ」美談として受け止められた入籍

2014年3月14日、俳優の宇津井健さんが亡くなりました。亡くなる1年ほど前から肺気腫を患っていたそうです。ドラマ「赤い」シリーズや『渡る世間は鬼ばかり』など人気作品に出演し、「日本のお父さん」として広くお茶の間に親しまれる名優でした。

死去から間もなくして、宇津井さんが亡くなるわずか5時間前に、7年ほど内縁関係を続けてきた一般女性と入籍していたことが報じられます。このニュースは「男のケジメ」と、美談として受け止められたように思います。

宇津井さんは、2006年4月、45年間連れ添った妻・友里恵さんを肝臓がんで亡くしました。それから1年後、名古屋の有名クラブ「なつめ」のママ・文恵さんと、ハワイで結婚式を挙げています。式は挙げたものの籍は入れず、二人はいわゆる内縁関係を続けていましたが、亡くなる2週間前に宇津井さんがプロポーズしたそうです(「女性セブン」2014年4月3日号)。