博物館へ家族旅行:家族4人で1日8370円也

CPの高い家族との休日の過ごし方である。

小4の次女はDランドに行こうよ、と私を見上げた。高1の長女も賛同する。私は首を振った。幼い頃から天の邪鬼で、Dランドのような場所が苦手である。

「いろいろあって楽しいでしょう。さあ、楽しみなさい!」というアメリカンエンターテインメント的空気感が嫌なのだ。なによりCPが壊滅的だ。入場料などものたうち回りたくなるくらい高い。おまけに弁当持参を許さない雰囲気。持ち込みOKなのかもしれないが、子供連れならば楽しげなレストランに入るしかないではないか。公園で読書をするとか、昼寝するとか、ただビールを飲むとか、そういうのが好みなのだ。しかしそれは子供たちのニーズと決定的に乖離しているような気がする。

そこで、Dランドを通り過ぎ、千葉県佐倉市にある「国立歴史民俗博物館」に行った。実物資料や緻密な複製品などの展示で、原始、古代から近代に至るまでの日本の歴史がよくわかる。日本史の勉強になるわけだが、勉強嫌いにだって面白い。圧倒的な展示スケールが愉快だし、それぞれの解説も実にわかりやすい。古代や近代など、興味のあるブースを重点的に回るのもいい。入場料も安い。緑豊かな佐倉城址公園の中にあって、周囲の散策も楽しめる。

あいにくの朝からの雨で、公園は歩けなかった。少し損をした気分だった。だが昼前に博物館に入ってみて考えが変わった。館内は広大で展示は綿密、とても半日では回りきれない。予定に公園散策を入れると一泊しなくてはいけないくらいだ。Dランドをスルーしたことで不満気に口を尖らせていた姉妹も、興味深そうに展示に見入っていた。

第1展示室から第5展示室まで、ざっと歩いて2時間弱。初回はアタリを付けておいて、再来してじっくり見学する人も多いそうだ。

社会科見学や修学旅行の団体も多いらしい。だがここは家族で訪れるというのが大事な勘所だと思う。友達と一緒だとどうしてもお喋りに興じてしまう。その点、家族連れならば子供たちの意識は自然と展示に向かう。そして昼食のとき、「なにが一番面白かった?」「寺子屋、かな」などと会話が弾む。そこで親父が寺子屋に関するウンチクを話せば、普段とは違って娘たちは目を輝かせるわけである。ちなみに私が話したウンチクは「寺子屋のおかげで、誰もが本を読むことができるようになった。だから今、作家という職業がある」であった。しかし、「みんなが御飯を食べられるのも寺子屋のおかげなんだよ」とまでは言わなかった。

また来るか? と娘に聞けば、「うん!」といつになく素直な返事が返ってきた。娘たちにしてみれば、友人を誘ってここまで来ることは難しいだろう。博物館旅行は親の専権事項なのだ。

わずかな入場料で、たっぷりとした時間が楽しめる。知的満腹感に溢れている。わが埼玉の自宅からは少し遠かったが、充実度は抜群ではないだろうか。

支出の内訳:合計 8370円
運賃:「朝霞」から「京成佐倉」まで大人1040円。子供520円。家族4人で(大人3名、子供1名)往復計7280円 入場料:大人420円、高校生250円、中学生以下無料 計1090円 昼食代:飲み物・弁当持参ということでナシ。