かつて「一六(イチロク)銀行(足して7、つまり質屋という意)」と呼ばれて庶民に親しまれた質屋だが、最近は、駅前にも「即現金」といった看板が掲げられるようになった。何かと出費がかさむ年末年始、小遣いが足りないとき利用できないものか。思い切って訪れてみることにした。

まず訪れたのは東京・高田馬場の老舗質屋。“初めての質屋”は、入り口に暖簾がかかっていて、ちょっと敷居が高い。店内はお客側と店員側が銀行のようなカウンターで仕切られていた。

今回の質草はフランク・ミュラーの腕時計だ。ケースはホワイトゴールドで、定価は130万円、1年程度の使用歴がある。ところが店員は時計を一瞥して「元箱と保証書がないと預かれません」。どんな時計でも元箱と保証書が必要なのかと聞くと「ロレックスなら不要です。カルティエも不要ですが、値段はかなり下がります」。

お金を借りるときの利率が店内に表示されていた。20万円未満月利4.2%、20万円以上3.5%、40万円以上3.2%、100万円以上3.0%。20万円未満は年利換算で何と50%を超え、サラ金より高い。だが違法ではない。質屋営業法で年109.5%の範囲内であれば自由に決めることができるからだ。貸付期間は3カ月で、3カ月後に借りた金額と3カ月分の質料(利息)を払えば品物が戻る。3カ月で返せなければ質料だけを支払って延長すれば質草は流れないという。

「保証書を取ってきます」と言い残して、2軒目へ。渋谷の質屋は1階がブランドショップになっており、「ブランド品を見にきました」という感じで気軽に店内に入れる。ショーケースに飾られた商品の中に新品のルイ・ヴィトンの手帳カバーを発見した。定価2万8350円を1万5000円で販売している。もう1つの質草として用意した私の新品のものと同じである。

店内の階段を上って2階の質入れの窓口へ行く。店員に先ほどのフランク・ミュラーを差し出すと分厚いカタログを見つつ、ネットで検索して、「時計は25万円です。手帳カバーは7000円ですね」。時計が25万円とは予想外の低さである。

査定に不満なそぶりを見せつつ、3軒目へ移動した。場所は五反田。「腕時計は買い取りなら18万円、預けるなら30%低い金額になります」。ますます査定も低くなる。手帳は先ほどと同じで7000円だった。