今年3月、不倫の慰謝料をめぐって画期的な判決が出た。女性同士のカップルでも不貞行為に対する慰謝料請求が認められたのだ。弁護士の理崎智英氏は「憲法は婚姻は『両性の合意』と規定しているが、時代状況に応じて条文をより柔軟に解釈することも可能になっていくのではないか」という――。
手をつなぐ女の子
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事実婚でも浮気の慰謝料は取れる

世の中には、婚姻届は提出していないものの夫婦同然の生活を送っているカップルも数多くいます。

それでは、そのようなカップルの一方が相手以外の異性と不貞行為をした場合、不貞行為をされた側は、パートナーに対して慰謝料を請求することができるのでしょうか。

この点、法律婚においては皆さんもご存じのとおり、不貞行為をされた配偶者がパートナーに対して慰謝料を請求することが可能です(民法709条)。夫婦間ではお互い貞操義務があり、配偶者以外の異性と性行為をすることが禁止されているためです。

そして、法律婚ではなく、事実婚状態であっても、男女間に法律上婚姻関係に準じるものとして保護される「内縁」関係が成立している場合には、不貞行為の慰謝料を請求することが可能です。

それでは、内縁とはどのような状態を指すのでしょうか。

最高裁は、「内縁」とは、双方に婚姻意思があり、社会的に夫婦として共同生活を送ってはいるが、法律で定められた婚姻届け出を提出していないため、法律婚とは認められない男女の関係を指すとしています(最高裁昭和33年4月11日判決)。