脳に“報酬”を与えるプレゼント効果

3月14日はホワイトデーでしたが、バレンタインのお返しを手渡す人も多かったのでは。また、春はお世話になった人にプレゼントを渡したり、もしくは新しい環境で出会う人に贈り物をする機会もあるかもしれない。特別なイベントがなくても、誰かにプレゼント、とりわけ“食べもの”をあげるという行為は、「相手との距離を縮める」ことが脳科学研究でわかっている。

「誰か」との距離を縮めるチョコレート
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長年「記憶の仕組み」について研究を重ねてきた大阪大学名誉教授で、脳情報通信融合研究センターの苧阪おさか満里子氏によると「食べものを贈る行為は、相手の脳に“報酬”を与えている」という。

「社会的な関わりで働く脳を『社会脳』といい、社会脳には『報酬系』というものがあります。報酬は人間の行動を導く強い動因となっています。報酬系が働くと、ポジティブな思考になったり嬉しさや楽しさなどの感情が得られたりするんですね」

報酬には3種類――生命維持のための食べものや性行動と関わる「生理的報酬」、毎日仕事をして金銭を得るなどの「学習的報酬」、そして自分と他者との関係によって得られる高次な「社会的報酬」がある。特別な食べものをプレゼントすることは相手に生理的報酬を、そして目に見えない自己と他者の心のつながりである社会的報酬を与えているのだ。