「カレーハウスCoCo壱番屋」の業績が底堅い。昨年3月に実施した値上げの影響で客数は減ったが、客単価の上昇で、この1年の既存店売上高はプラスになった。店舗運営コンサルタントの佐藤昌司氏は「ココイチには1億通り以上というカレーの品揃えがある。このため値上げをしても、競合に客が流れづらい」と分析する――。
壱番屋プレスリリースより
画像=壱番屋プレスリリースより
2018年9月には、お客と店員が「何種類くらいあるんだろう」「ほんの1億種類くらいです」というやりとりのCMも放映された。

ポークカレーは税込み484円から505円へ

「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)を運営する壱番屋で既存店の客数が減っている。3月4日発表の2020年2月期の既存店客数は、前期比1.5%減と前年割れに転じた。これは19年3月1日に実施した値上げの影響だとみられる。

ココイチは、コメなどの食材価格の上昇や人件費の上昇を理由に、国内全店舗のうち約8割でポークカレーなどの主力商品の価格を引き上げた。東京23区など都心部の店舗の場合、ポークカレーは税込み484円から505円と21円引き上げた。

この値上げ以降、客数減が目立つようになった。18年9月から値上げ直前の19年2月まで、客数は6カ月連続で前年を上回っており、6カ月の合計では前年同期比2.4%増と客数は増えていた。しかし、値上げ実施月の19年3月は0.2%減となり、それ以降はマイナスの月が目立つようになっている。

ネット上では「値上げで行く回数を減らした」「高くてもう行けない」といった悲鳴に近い声も聞かれた。こうした状況から、19年3月に実施した値上げでは客離れが起き、失敗だったとの見方がある。しかし、筆者はこの値上げは「成功」と考えている。客単価の上昇で既存店売上高はプラスになっているためだ。