すべてを失う覚悟で大胆な選択をしてきた

ここ一番の状況なのに、優柔不断で物事を決めることができない。ほとんどの人が、そんな悩みを持っているだろう。一方、後世に語り継がれるようなリーダーや大物は、修羅場に立ったとき、すべてを失う覚悟で大胆な選択をしてきた。つまり、「決断力」を備えているのだ。

サムライ戦い
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はたして乱世を乗り越えた戦国武将たちは、どのような決断を下して生き残ってきたのか。その出来事とスキルを、人気の歴史学者・本郷和人氏が多角的な視点で解説。決める勇気を学んで、ぜひ日常生活やビジネスシーンのなかで役立ててほしい。

毛利元就 誰も信用しないでガッチリ稼ぐやり手のワンマン

元就は、突出して優秀な武将です。圧倒的な兵力差の戦いに何度も勝つなど、軍事的な才能が高く、用意周到に手を打って、小早川家や吉川家を乗っ取っていきました。1万石もない領地を120万石まで持っていったのは、M&Aを成功させたようなもの。ド汚い手を使いながらビジネスチャンスを掴んでガッチリ稼ぐ、ウォール街にいそうなやり手のビジネスマンタイプですね。

ただ何でも自分で全部やってしまうワンマンだから、毛利家を継承するシステムをきちんとつくりませんでした。元就の死後、毛利家はあっという間にダメになってしまったのです。