防ぐべきは飛沫、接触感染

これを記している2020年1月末現在、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が心配されている。政府は今回の新型をSARSとMERSと同様の「2類感染症相当」とみなした。

呼吸器専門医で、新著に『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』(日経BP社)がある大谷義夫医師(池袋大谷クリニック)は、こう話す。

「SARSの致死率が約10%、MERSは約34%。今回の新型肺炎の致死率は今のところ数%ですが、未知のウイルスであることからもインフルエンザよりは怖い可能性がある。しかし感染経路から、手洗い、うがい、そしてマスクも正しく使えば有効になります」

新型肺炎ばかりに気を取られがちだが、インフルエンザ流行シーズンでもあり、正しい感染症対策を行いたい。

インフルエンザを含めた風邪、医学的には「上気道炎」(鼻や口に近い、上気道で炎症を起こしている状態)を起こすウイルスや細菌は200種類以上あるとされる。原因となる病原体は約9割がウイルスで、残り1割が細菌。溶連菌感染症などの細菌による感染症には抗生物質が効くが、コロナウイルスを含めたほとんどのウイルス感染には根本的な治療法はない。炎症が上気道を通り越して気管支に広がると「気管支炎」に、それが肺に到達して悪化すると「肺炎」になる。治すのも、予防するのも自分の免疫力や生活習慣が物を言うのだ。