斎藤道三(1494~1556)
戦国時代初期に活躍。油売りから美濃の国主になり下剋上の代表格に挙げられる。娘は織田信長の妻・帰蝶。最期は息子・義龍に殺された。

中学一年のときに母親が買ってくれた『国盗り物語』

2019年4月に東京海上日動火災保険の社長に就いた広瀬伸一氏は、岐阜県生まれの名古屋育ち。そのため同郷の英雄である斎藤道三は、子どもの頃から身近な存在だった。

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「興味を持ったきっかけは、私が小学6年のときに斎藤道三が主役のNHK大河ドラマ『国盗り物語』の放映が始まったこと。家族揃って見ていたら、中学に入るときに母親が司馬遼太郎の原作の小説を買ってくれましてね。私が生まれたのは岐阜の郡上八幡という奥美濃の田舎で、名古屋へ引っ越してからも父の仕事の関係でよくこの地を訪れていましたから、作中に出てくる地名も馴染みのあるものばかり。道三が拠点とした稲葉山城がある金華山をはじめ、土岐や清洲なども土地勘があるので、すぐ物語に引き込まれました」

斎藤道三は一介の浪人から京都の油売りを経て、やがて美濃の国主にまで上り詰めた人物。まだ名もなき若者の頃から「いつか一国の主になる」と思い定めた道三は、その優れた武芸と才覚で頭角を現し、謀略を重ねて邪魔者を排除しながら自分の目的に向かって突き進んでいく。そしてついには、自分を信頼し腹心として引き立ててきた守護大名・土岐頼芸を美濃から追放してその座を奪い取り、念願の“国盗り”を成し遂げる。