「新型肺炎の世界的な拡散が現実化してしまったことで、グローバルな景気失速リスクが格段に高まっている。感染がグローバル化したことにより、世界的な感染のピークはまさにこれから。今後起きる最悪のシナリオは、『東京オリンピックの中止』でしょう」と人気アナリストの馬渕磨理子氏が解説する。今年、オリンピックバブルを心待ちにしていた経済界にとってこれ以上のバッドニュースはない。東京オリンピック中止は、株価にどれだけの打撃を与えるのか――。
IOC委員のディック・パウンド氏が「開催可否の判断は5月下旬が期限」「1年延期も不可能ではない」との見解を示し、雲行きが怪しくなっています。
時事通信フォト=写真
IOC委員のディック・パウンド氏が「開催可否の判断は5月下旬が期限」「1年延期も不可能ではない」との見解を示し、雲行きが怪しくなっています。

日本の意向は汲まずに「オリンピック中止」の可能性も

新型肺炎の感染拡大により、東京オリンピック中止が現実味を帯びてきています。国際オリンピック委員会(IOC)委員のディック・パウンド氏が「開催可否の判断は5月下旬が期限」「1年延期も不可能ではない」との見解を示したことから、東京オリンピックの開催の雲行きが怪しくなっています。

マラソン競技の開催地が、暑さ対策への懸念からIOCの一声で東京から札幌に変更された時のことを思い出してみてください。この時、開催国の日本への合意はありませんでした。

同様に、今回のコロナウイルスの感染拡大を受け、日本の意向は汲まずに大会中止や開催地を変更されてしまう可能性もゼロではないのです。

東京オリンピックが中止となった場合の経済損失

東京オリンピックの経済規模はどの程度試算されていたのでしょうか。

東京都のオリンピック・パラリンピック準備局の試算によると、オリンピック開催の経済効果は招致が決まった2013年から2030年までの18年間で約32兆円としています。