突然の安倍首相による「休校宣言」

日本の官僚機構は「想定外の事態」に弱い。今回の新型コロナウイルスでも同じだ。本来、未知の病原体のパンデミックは「いつでも起こりうる事」として想定されていたはずだが、結局、右往左往する醜態を国民に晒している。

衆院予算委員会の冒頭、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国の小中高校の臨時休校について発言する安倍晋三首相(中央)=2020年2月28日、国会内
写真=時事通信フォト
衆院予算委員会の冒頭、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国の小中高校の臨時休校について発言する安倍晋三首相(中央)=2020年2月28日、国会内

安倍晋三首相は2月27日夕、新型コロナの感染防止対策として、全国の小学校・中学校・高校に3月2日から春休みまで臨時休校するよう要請した。その後の報道や国会答弁で明らかになったところによれば、一斉休校は首相官邸が検討、27日の朝に藤原誠文部科学事務次官に、全国で一斉休校した場合のシミュレーションをするよう指示があったという。

萩生田光一文部科学相と藤原次官は午後1時半に首相官邸に駆けつけ、官邸の方針に反対したという。共働きやひとり親家庭の親がすぐに休暇を取ることは難しく、現場の混乱は必至だというのが理由だった。だが、首相は腹心と言われる萩生田大臣や、文科次官の反対を押し切り、方針表明へ突き進んだ。