プレジデントは前号から野村克也さまの新連載「考えて野球せぃ」を始めました。その号の印刷を始めた矢先の2020年2月11日、野村さまはご逝去されました。プレジデント編集部一同、心より野村さまのご冥福をお祈りいたします。
20年1月下旬、東京都内のホテルの一室にて、野村さまと最後にお話をさせていただきました。力強く野球界の未来を語る野村さまのそのお姿がとても印象的でした。
取材後、部屋から出られる際、野村さまは「次の取材からは、(場所は)こんな高い部屋じゃなくて(ホテルの)下のカフェでいいからな」とおっしゃっていました。その日がもう来ないことを編集部も受け止めきれません。このたびの連載開始に向けた取材のほか、これまで編集部が生前の野村さまから聞いていた話をここにまとめます。
 

貧乏だった幼少期劣等感の塊だった

小さいころから、劣等感の塊だった。戦争で父親を亡くして。そのことを周りと比べてしまってな。

それに、いじめられもした。

父親がいないということもそうだが、小学校のときに担任の先生にすごく可愛がってもらえて、それを周囲がすごくうらやましがったんだ。