つらいときは1つだけやる

競泳の日本代表として4回の五輪に出場し、4つのメダルを獲得した松田丈志さん。そんなスーパーアスリートにも「今日はやる気が出ない」という日があったという。

オリンピック競泳銀メダリスト 松田丈志氏
オリンピック競泳銀メダリスト 松田丈志氏

「やる気が出ない日はあって当然です。無理しない。モチベーションが低下したら、合わせて行動する。そのほうがいい結果につながりました」

アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロの五輪に出場し、4つのメダルを獲得したアスリートにも“ダメダメな日”があったとは驚きだ。

「そんなとき意識したのは、とりあえずプールに行くこと。100%やろうとは思わない。練習メニューが10個あるなら1個やればいい、とハードルを下げる。それでもゼロよりはいいからです。ところが1個やってみると、もう1個やろうかなと欲が出て、結局は予想以上に体が動くものです」

練習はサボらない。自分のなかで目標をぐっと下げ、とりあえず泳ぎ始める。ビジネスパーソンで言えば、とりあえずパソコンの前に座ってみる、といったところか。

日々の浮き沈みとは違って、不調が長期化することもある。特に世界の大舞台で好成績を出したあと、記録が伸び悩む選手は多い。いわゆる“燃え尽き症候群”だ。松田さんにはなかったのだろうか。