2月25日、政府は新型肺炎対策の基本方針を決定したが、感染拡大対策としては発熱時の外出自粛やテレワーク、時差出勤を呼びかけるだけで、イベントの開催については民間に任せるとのことだった。それでいいのか。橋下徹氏の見解は? プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(2月25日配信)から抜粋記事をお届けします。

完全撲滅か共生か、感染症との向き合い方は2種類しかない

マスクする人々
写真=iStock.com/Domepitipat
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新型コロナウイルス肺炎が、徐々に日本国内に広がってきた。感染経路が不明な感染者も出てきているので、検査によって把握しきれていない感染者が市中に相当数存在する「市中感染」をもはや認めざるを得ない状況だ。

(略)

感染症に対する社会の向き合い方には大きく2つしかない。

1つ目は、その感染症を完全に撲滅させる方向性。
2つ目は、その感染症と共に生きる覚悟を決めて、社会的な耐性を強化する方向性。

人類が世界的に完全な撲滅に成功した感染症は天然痘だけだ。世界的な完全撲滅には諸条件が整わなければならず、撲滅に近づいている感染症はいくつかあるが、完全撲滅は今のところ天然痘のみとなっている。

そんな中で、新型コロナウイルス肺炎は完全撲滅が難しい種類の感染症だ。それは、「不顕性感染」といって、明確な症状がないままにどんどん感染が広がるので、感染者を完全に追跡しながら撲滅することができないからだ。また、ヒトからヒトのみの感染だけでなく、動物にも感染するので、ヒトの間での感染を撲滅したところで、また動物から感染が広がる可能性が高い。