東京都心の上空を行き来する羽田空港の新ルートの運用が3月29日から始まる。不動産コンサルタントの長嶋修氏は「住宅街に轟音が響けば、不動産価格に影響が出る恐れがある。例えば上階ほど価値が高いタワーマンションの価格は、試算で最大26%の下落リスクがある」と指摘する——。
離着陸数が増加する東京。南風の吹く都心上空を、全日空機が羽田空港新ルートを実機で試験飛行した=2020年2月12日
写真=AFP/アフロ
離着陸数が増加する東京。南風の吹く都心上空を、全日空機が羽田空港新ルートを実機で試験飛行した=2020年2月12日

新宿・渋谷・品川など東京都心にジェット音が鳴り響く

「結構うるさいね」
「こんなに低空とは思わなかった」

筆者は東京渋谷区・代官山に住んでいるが、2月に行われた試験飛行で、金属と空気の摩擦音やジェット音を伴って次々と飛来する大型旅客機を見上げつつ、街を行き交う人がこんな感想を漏らしているのを複数見かけた。

3月29日から、羽田空港に新空路が設定される。訪日外国人の増加や2020年7月に控える東京オリンピック・パラリンピックへの対応、首都圏の国際競争力強化などを目的として深夜・早朝時間帯を除きフル稼働している羽田空港の発着便を増やすべく、旅客機は埼玉県上空で左旋回した後、高度を下げながら新宿・渋谷・目黒・港・品川・大田区といった東京都心上空を抜け羽田空港に着陸する。

「松濤」「青山」「広尾」「代官山」「白金」「御殿山」といった、東京都心の閑静な高級住宅街やタワーマンションの数百メートル上空を大型旅客機が飛来することとなる。ルート下には、上皇・上皇后ご夫妻の仮住まい先となる「高輪皇族邸」もある。

計画では都心部上空を着陸体制で、300~900メートルの低空飛行で通過。着陸時間帯は15時から19時(南風運用時)のうち3時間程度に限定されるものの、この間は発着数が最大90回、2分に1回といった、通勤ラッシュ時のJR山手線より多いペースで大型旅客機が続々と飛来する。

これに先立ち、国土交通省は2日から12日にかけて旅客機の定期便がこの空路を飛ぶ「飛行確認」を行い、ルート周辺で測定した騒音のデータの分析を進めている。