ムサコの悲劇はその土地の問題か

2019年秋、首都圏でも死者が出るなど甚大な被害をもたらした台風19号。このとき、被害地域の1つとして盛んに報道された場所が、近年タワーマンションが林立し、開発著しい川崎市中原区の武蔵小杉だった。

台風で氾濫した多摩川
写真=iStock.com/fuujinme
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同地域のタワーマンションの一部では、市街地に降った大量の雨が短時間で排水路や下水管に一挙に流れ込む「内水氾濫」が発生。長期にわたる停電による高層階のエレベーター稼働の停止、さらには排水もストップするなど住民に大きな被害を与えることとなった。こうした状況を受け、一部の住民からは不動産価格の大幅な下落を懸念する声も出始めているという。

そんな「まさか」の自然災害に対し、「近年、再開発が進められたタワーマンションが立ち並ぶ新興住宅地は、リスク耐性が弱いケースが少なくない」と指摘するのは、不動産コンサルタントの長嶋修氏だ。

台風19号の被害以降、タワーマンションの管理組合向けに災害対策に関するセミナーを多く行ってきた長嶋氏に、いま首都圏で自然災害が発生した場合、リスクの高いエリアについて解説してもらった。

まずは、19年の台風被害が大きかった武蔵小杉エリアについてだ。