「ウーハン・コロナウイルス」と呼ぶべきではないか

WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は2月11日、スイス・ジュネーブで記者会見し、新型コロナウイルスが引き起こす病名を「COVIDコビット‐19」と名付けたと発表した。コロナウイルス(coronavirus)と病気(disease)の文字に加え、発生年の2019年を組み合わせた名称という。

記者会見に応じる世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長(中央)
写真=EPA/時事通信フォト
記者会見に応じる世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長(中央)

かつて病名や病原体名は、「スペイン風邪」や「香港風邪」、「エボラ出血熱」などと発生地にちなんだものが多かったが、差別や偏見を避ける意味からか、由来地名は使われなくなった。しかし2003年のSARS(サーズ)のときから感じていることだが、感染禍を忘れない意味では地名由来は必要だと思う。沙鴎一歩がこれまで書いてきたように「ウーハン・コロナウイルス」と呼ぶべきではないだろうか。

本来ならSARSも「チャイナ・コロナウイルス」と呼びたいところである。この名前を使っていれば、中国も隠蔽体質の弊害を忘れずにいたはずで、今回のような異常な感染拡大は避けられたように思う。

「マスク」が過信されているのではないか

この新型コロナウイルスの感染拡大で、ずっと気になっていることがある。マスクの売り切れである。

1月24日の中国の春節(旧正月)前後から中国人が多く来日するようになると、日本でもドラッグストアなどを中心にマスクの売り切れが目立ってきた。品薄状態はまだ続いているし、この先も続くだろう。

多くの人が毎日の買い物でマスクを探し回り、一部の病院では在庫のマスクが底を尽いているようだ。日本の大手商社は中国政府に頼まれ、何万枚ものマスクを輸出したという。猫も杓子もマスク、マスク、マスクである。

人々がこれだけマスクに注目するのはどうしてなのか。ウイルスに対する感染防御にマスクはどれほど効果があるのか。マスクが過信されているのではないか。今回はマスクについて考えてみたい。