東京の離島・利島(としま)で島外からのIターン移住者が増えている。村役場によれば「島民の20~40代の8割以上は移住者です。島民322人でみても約半数がIターンと推定できます」。島に魅せられ昨年3回も訪れた女性生活アナリストの山本貴代氏が、若くして移住を決めた5人にその理由を聞いた——。
撮影=小塩真一
アポロチョコのような円錐形の島

高速艇で2時間半、東京の小さな離島「利島」に引っ越す人が多いワケ

伊豆諸島と小笠原諸島を合わせた11の島々(父島、母島、八丈島、三宅島、神津島、大島など)は、東京都に含まれる。小池百合子都知事はかねてこれらの島を「東京宝島」と命名し、その魅力を発信している。

利島は東京都に属している(利島村ウェブページより)

その島々の中に、ひときわ小さな「利島(としま)」(東京都利島村)がある。島の形は「アポロチョコ」のような円錐形。1周8km、面積4.12平方kmで、都内の市区町村の中で一番小さい。人口は322人、世帯数は176世帯(令和2年1月1日現在)。港に立てば島内すべてが視界に入るほどで、なんともこぢんまりしている。

東京・竹芝から南へ140km、高速艇で2時間半。断崖絶壁のため船の接岸は難しく、そう簡単には上陸できない。冬になると西風の影響で着岸率は50%以下になる。時間や距離で考える以上に「閉ざされた島」といえる。

この島を知る人は極めて少ない。私も、訪れるまで「利島」の呼び方だけでなく、島の存在すら知らなかった。しかし、縁あって昨年、夏、秋、冬と3回訪れたが、行くたびに魅力は増すばかりだ。