大手外食チェーンが“低価格”を重視するワケ

「日本の外食チェーン店の価格、クオリティは大満足だった」。オランダから東京にやって来た友人が言っていた。諸外国に比べるとわが国のレストランチェーンなどの「コストパフォーマンス」はとても高いと見えるのだろう。

その背景の一つとして、長い間、わが国がデフレ経済に陥ったことは無視できない。デフレは需要低迷の裏返しだ。デフレが深刻化するとインフレとは反対に、価格の低さに注目が集まる。デフレの状況下、消費者が低価格のモノやコトを求めると考える企業が出現した。

写真=時事通信フォト
隣接する吉野家と松屋の店舗(東京都港区、2016年8月12日)

そのようなニーズを取り込むために、外食産業では徹底した合理化などに取り組み、低価格戦略を強化しつつ、消費者の満足と利益率の向上を目指す企業が増えた。その結果が、“わが国の外食は安くてうまい”との評価を支えているのだろう。

一方、わが国の外食産業全体の価格が安いかといえば、そうではない。価格がかなり高い店舗もある。海外でもそれは同じだ。見方を変えれば、企業が長期の存続を目指すためには、明確に顧客のセグメンテーションを定め、消費者の満足度を高めていくことが欠かせない。